建設土木関係の浮き沈み

例のマンション杭施工手抜き問題で、土木地盤調査関係が買われ、マンション建築及び不動産関連が売られています。今回の杭問題ですがかなり根が深い問題だと思いますね。あそこまで行くともう管理者じゃ管理しきれませんよ。私はゼネコンの現場監督をしていた時がありますが、実際現場では一本一本チェックはしていますが、全部完璧にセメントミルクの量や掘削深度などを現場のゼネコンの監督がチェックするということは難しいですね。というか実際には無理です。よって、施工者の良心に委ねるというところが多いかと。もちろんロットでしっかり検査し、更に工事写真を全ての本数撮らなければならないので概算的なチェックは行っています。しかし、工事写真を撮影するのは末端の施工管理者であり、細かい不正を見抜けるかどうかは未知数ですね。

 

よって今回のような手抜き工事はある程度やろうと思えばやれる範疇であり、特にセメントミルクの注入量不足に関しては、施工利益を上げるためにある程度どこの施工会社でもやっている可能性が高くなります。今回のケースとは異なりますが、パイルを打ち込みジョイントを現場溶接するようなケースでも、仕様書では2週溶接となっているのに対し、1週で済ませてしまっている施工業者もあるようです。

 

以上のように様々な不正が行われているという現状が建設現場にはあり、それは防ぎようのないものと捉えられるものから、確信的に不正が行われてるものまで幅広くあります。殆どの施工業者は仕様書通りに行っていますが、例えば型枠から鉄筋が数センチ又は鉄筋径の何倍離れていなくてはならないといった「かぶり」を要求されている場合、鉄筋施工直後は守られているものの、コンクリート打設時には打設の衝撃又は施工職人の施工不良によりかぶりが守られていない状態となることは日常茶飯事です。かぶりが維持されていないと鉄筋が錆びて表面のコンクリートが爆裂して構造強度の低下に繋がります。しかし、実際には確実に守られていないというか、守れる状況ではない施工状況のことが多いというのが現状です。

 

このようなことを含め、更なる施工精度の向上が求められていますが、実際に現在の程度の手抜きや止むを得ない施工不良であれば、それほど品質が著しく悪化して地震に対して脆弱になったり、普通よりも早く老朽化して住めなくなるということはまずないといえます。しかし、これは一般論であり、中には手抜き工事し放題という施工業者もあるので、その辺は「実績」などを重視して信頼のおけるゼネコンであるというのが、仮に施工不良があっても耐久性に問題はない場合での一つの指標になります。

 

今回の不正はちょっと考えられないレベルの不正ですが、それで長谷工や不動産株が投げ売られているのはちょっと違う感じがしますね。ということで、意味もなく投げ売られている銘柄は底で買うチャンスということになるでしょう。逆に無意味に買われている土木株は売りでいいということになります。